2020年11月1日日曜日

おにいさんといっしょ 8

そんなこんなで1週間が経過した
エルヴィラ「うふふ」
エルヴィラ「あなた素敵よ、ヴラド」
執事「…………」
始祖「パスカル、何か用か?」
執事「お取り込み中、失礼いたします」
始祖「その前にノックくらいしろ」
執事「ノックしたくてもドアがありませんのであしからず… 始祖様に速達が届いています」
エルヴィラ「それ、何なの?」
始祖「カミラ・コープランドつまりサラの母親に関する調査報告書だ これによれば、カミラと親父は愛人関係にあったのは間違いない ただ10年以上前に別れている」
執事「先代はサラ様が産まれたことをご存じなかったんですね」
始祖「…らしいな カミラは親父と別れた後、ひとりでサラを産んでひとりで育てた ヴァンパイア仲間との交流も持たなかったので、7年前親父が死んだことも知らなかったようだ」
エルヴィラ「おじさまがサラちゃんのことを知っていたら、きっとほうってはおかなかったはずよ だって、可愛いひとり娘ですもの」
始祖「可愛いひとり息子はほったらかしだったがな」
執事(…こいつ、まだ根に持ってるな)
始祖「来月、一族の集会がある その時にサラをみなに紹介したい パスカル、サラのドレスを何着か用意してやってくれ」
執事「かしこまりました」
始祖「もう下がっていい」
執事「…あ、始祖様 ひとつお訊きしたいのですが」
始祖「何だ?」
執事「もしサラ様が本当の妹でなく、偽物(にせもの)…つまり騙(かた)りだったらどうなさっていましたか?」
始祖「そりゃあ決まってる メイドとしてこき使って、年頃になったら売春宿にでも売り飛ばして…」
執事「くすっ」
始祖「なぜ笑う?」
執事「あなたはそんなことはなさらないからです」
自分より小さき者、か弱き者に対して
けっして意地悪はなさらない
――それがあなた様だから
(そうでない相手には情け容赦ありませんが)


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