2021年12月3日金曜日

ヴラディスラウス・ストラウドの困惑 7

パスカル・ピースが考案したブラッドパックは発売開始と同時に一大ヒット商品となった
このブラッドパックのおかげでヴァンパイアたちは慢性的な「渇き」から解放されたのだ
とはいえ
「たまには人間の生き血をすすらないとヴァンパイアのアイデンティティーが喪われる」
そんな勝手な屁理屈をこねては、俺はこいつから吸血を続けている
久しぶりに味わうパスカルの血はあまりにも美味で
自制(コントロール)できずにむさぼっては
パスカル(ドサッ)
―――あげくの果てこうなるのだ
パスカル「ZZZ」
始祖「またやっちまった」
「ヴラド、あんたもたまにはあの色気にグラッとこない?」
さすがはエルヴィラ姐さん、鋭いぜ
こいつの色気にグラッとくるのは、「たまに」じゃなくって「しょっちゅう」さ
でも、こいつに嫌われたくなくて手を出せないでいる 
俺っていつからこんな殊勝な奴になっちまったんだ
パスカル「……」
パスカル「…ん」
パスカル「…え?」
パスカル「私はあなたの抱き枕じゃないとなんべん言わせるんですか」
始祖「ZZZ」
パスカル(…蹴り落としたろか)


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