ヴラディスラウス・ストラウドの困惑 3

エルヴィラ「そういえば、Ziggyの姿が見当たらないわね」

パスカル「Ziggyは昨日亡くなりました」
エルヴィラ「……　そうなんだ」

パスカル「さあ、血清フルーツパイが焼き上がりましたよ」
サラ「わ～い♪」

エルヴィラ「来月、サンマイシューノの大劇場で上演される『ハムレット』にマシュー（＝エルヴィラの同棲相手）が出るの」

始祖「ほー　ハムレット役か」
エルヴィラ「まさか」
始祖「じゃあ、レアティーズか　それともホレイショー?」

エルヴィラ「とんでもございません」
始祖「ローゼンクランツ?　ギルデンスターン?」
エルヴィラ「どれも不正解よ」

エルヴィラ「正解は墓掘り人夫よ」

始祖「……」
パスカル「……」
マシューが演じるのは第五幕第一場に登場するふたりの墓掘りのどちらかであろう
もっとも「墓掘り人夫」と言われて即座にどんな役どころかわかる者はまずいまい

エルヴィラ「ヴラド、チケットを送るからサラちゃんと一緒に観に来てね」
サラ「わあ、お芝居を観るなんて初めて」

サラ「♪」

エルヴィラ「ところでパスカル　ゆうべはお楽しみでしたね」
パスカル「は!?」

エルヴィラ「あら　久しぶりにヴラドと熱～い夜を過ごしたんじゃなくって?」
パスカル「ご冗談を」

パスカル「残念ですが、あなたが期待されるようなことはありませんでしたよ」

エルヴィラ「そうなの」
パスカル「始祖様は『無性に人間の肌の温もりが恋しい』そうで、ひと晩中、抱き枕にされただけです　言葉通りただの『枕』です」

エルヴィラ「な～にやってんのよ、あいつ（笑）」
パスカル「（苦笑）」

エルヴィラ「パスカル、禁欲生活が辛くなったらいつでも言ってね　お姐さんが相手してやるから」

パスカル「マシュー様に言いつけますよ」

今日のNGシーン1：いるはずのない猫が映っている

今日のNGシーン2：おまえは昨日死んだはず