2021年11月28日日曜日

ヴラディスラウス・ストラウドの困惑 2

始祖「俺がZiggyを見つけたのは晩秋の早朝だった」
お産の 途中で 死んでしまった 母猫の 乳房に
必死で しがみついていた 仔猫
―――それが Ziggyだった
飢えと 寒さで 震えていた あいつを
俺は なぜだか ほうって おけなかった
始祖「おかしいだろう 人の生き血を喰らうヴァンパイアのくせして」
始祖「死にかけた猫一匹、見捨てられないなんて」
パスカル「いえ」
母親の命と 引き換えに この世に 生を受けた者
「―――Ziggyは 俺だから」
父親に 疎まれていると 思い込んだ 少年の心を
Ziggyは どれほど 癒して くれたことか
始祖(ことん)
パスカル「?!」
始祖「しばらく、こうしていてくれないか」
始祖「…おまえは温かい※な」
※注:ヴァンパイアの体温は人間よりおよそ10℃低いという設定
始祖「俺は、無性に人間の肌の温もりが恋しくなる時がある」
パスカル「……… それは比喩的表現※でしょうか?」
※注:パスカルは「人間とウフフな事がしたいって意味か」と訊ねているのだ
始祖「いや 物理的に、だ」
パスカル「モルダー、あなた疲れてるのよ」
始祖「…モルダーって誰やねん」
雀「ちゅん、ちゅん♪」
始祖「ZZZ」
パスカル「!?」
パスカル(…不覚 うっかり始祖様のベッドで寝てしまいました)
パスカル(着衣に乱れがありませんから、何もされていませんよね)
パスカル(それはそれでちょっと残念 …って、何考えてんですか私は) ←セルフつっこみ
エルヴィラ「おはよう、パスカル」
パスカル「おはようございます、エルヴィラ様 いついらしたのですか」
エルヴィラ「今しがた」
パスカル「表玄関は施錠してあったはず」
エルヴィラ「あ~ら コウモリ形態ならひとっ飛びよ♪」
パスカル「……(この館のセキュリティは相変わらずザルですね)」


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