2021年11月28日日曜日

ヴラディスラウス・ストラウドの困惑 1



サラ「Ziggy? Ziggy?」
サラ「おかしいな いつもはあたしが学校から戻ると真っ先に出迎えてくれるのに」
サラ「パスカル、Ziggyを見かけなかった?」
パスカル「いえ」
パスカル「そういえば、お昼前から姿を見かけませんね」
始祖「Ziggy? いや、朝メシを食っているのを見たのが最後だな」
始祖「おおかた、メス猫でも追っかけに屋敷の外に出かけたんじゃねえか」
パスカル「まさか あなたじゃあるまいし」
始祖「おい 人を色情狂呼ばわりかよ」
サラ「まあまあ」
ほどなくして、サラは地下室の片隅で冷たくなったZiggyを見つけた
サラ「………」
始祖「パスカル、裏の墓地に葬ってやれ」
パスカル「かしこまりました」
パスカル「…寿命というには少し早すぎましたね」
サラ「Ziggyっていくつだったの?」
パスカル「そうですね 人間でいえば50歳前後でしょうか」
サラ「…… パスカルも」
パスカル「え?」
サラ「パスカルも、いつか年老いて逝ってしまうの?」
パスカル「ええ 私はあなた方と違って人間ですから」
サラ「…嫌だ」
パスカル「…… それが自然の理(ことわり)ですので」
サラ「………」
始祖「……何か用か?」
パスカル「いえ」
パスカル「お泣きになっているのでは、と思いまして」
―――愛猫の死を悼んで
始祖「ヴァンパイアは泣かない 涙腺がない※からな」
パスカル「さようでございましたね」
始祖「まあいい ここに座れ」
※注:ヴァンパイアには涙腺がないというのはマイ設定です
始祖「せっかく来たんだ 今夜は、俺の問わず語りに付き合ってもらおうか」
パスカル「かしこまりました」


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