2021年9月19日日曜日

スローなワルツにしてくれ 5

タス子「説明していただけますか あたしの存在が消えるってどうゆうこと?」
始祖「…… あまり時間がないが、仕方ねえな」
始祖「タス子 おまえは数日前、俺からの手紙を受け取ったんだな」
タス子「ええ」
始祖「その手紙におかしな所はなかったか?」
タス子「おかしな所? ……ああ、そういえば」
タス子「誤って1921年9月の消印が押されてました」
始祖「誤りではない 俺があの手紙を投函したのは1921年だ」
始祖様の話を要約すると、1921年に出した始祖様の手紙が、
ちょうど100年後のタス子の元に届けられた――ということになる
始祖「おまえはこの館にたどり着くまでに100年の時をさかのぼったわけだ」
タス子(…… イミフ)
始祖「こっちの世界は現在、1921年だ」
タス子「!?」
始祖「だがそろそろ限界のようだ 時の番人は寛大ではない 異質なる存在として、タス子、おまえを排除し始めた」
残る手だてはひとつだけ
始祖様の魔力のありったけで、タス子を元の世界にワープさせる
おまえは俺からの手紙など受け取らなかった
おまえがこの館を訪れることはなかった
パスカルも、サラも、タス子とは出会わなかった
(俺も、ミツバチと闘う必要もない)
タス子「あたしは?」
始祖「無事に元の世界に戻れたなら」
始祖「ここでの記憶も全て消去される」
タス子「……」


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