2021年9月20日月曜日

スローなワルツにしてくれ 6

おまえが再びサンマイシューノで目覚めた時
ここで経験したことは全て夢になるだろう
タス子「あたし、忘れたくない」
始祖「…それはできぬ相談だ」
タス子「始祖様?」
始祖「…悪いが、ソレ(=ラマの被り物)取ってくれ」
眠り姫を目覚めさせるのは王子様の役目だが
この際だ 俺で我慢してくれ
始祖「…行ったか」
2021年9月 サンマイシューノ
*「はっ」
*(どろんっ)
今度こそ終わりです


2021年9月19日日曜日

スローなワルツにしてくれ 5

タス子「説明していただけますか あたしの存在が消えるってどうゆうこと?」
始祖「…… あまり時間がないが、仕方ねえな」
始祖「タス子 おまえは数日前、俺からの手紙を受け取ったんだな」
タス子「ええ」
始祖「その手紙におかしな所はなかったか?」
タス子「おかしな所? ……ああ、そういえば」
タス子「誤って1921年9月の消印が押されてました」
始祖「誤りではない 俺があの手紙を投函したのは1921年だ」
始祖様の話を要約すると、1921年に出した始祖様の手紙が、
ちょうど100年後のタス子の元に届けられた――ということになる
始祖「おまえはこの館にたどり着くまでに100年の時をさかのぼったわけだ」
タス子(…… イミフ)
始祖「こっちの世界は現在、1921年だ」
タス子「!?」
始祖「だがそろそろ限界のようだ 時の番人は寛大ではない 異質なる存在として、タス子、おまえを排除し始めた」
残る手だてはひとつだけ
始祖様の魔力のありったけで、タス子を元の世界にワープさせる
おまえは俺からの手紙など受け取らなかった
おまえがこの館を訪れることはなかった
パスカルも、サラも、タス子とは出会わなかった
(俺も、ミツバチと闘う必要もない)
タス子「あたしは?」
始祖「無事に元の世界に戻れたなら」
始祖「ここでの記憶も全て消去される」
タス子「……」


スローなワルツにしてくれ 4

執事「みなさ~ん、ケーキの用意ができましたよ」
始祖「ロウソクを吹き消して、ひとつババアになるわけだな」
タス子「……」
タス子「パスカル このハニーケーキ、もう一切れもらっていい?」
執事「お口に合いましたか」
執事「始祖様がミツバチと闘ったかいがありましたね」
始祖「パスカル よけいなことは言うな」
始祖様はツンデレw
全員「アレ?」
タス子「今、一瞬フリーズしたよね?」
執事「『神』(=プレイヤー)のPCがしょぼいせいで、画像処理が追いつかないのでしょうか」
始祖(…… やはりそうか)
タス子「始祖様、楽しい時間をありがとう」
始祖「…… それを飲んだらすぐ元の世界に戻ったほうがいい」
タス子「え?」
始祖「…おまえの存在が消えかかっている」